ばけがくしゃの勉強ブログ

薬剤師国家試験、有機化学、プログラミング、etc.

2020-01-01から1年間の記事一覧

【薬剤師国家試験 第102回 問211】β-ラクタム系抗菌薬とプロドラッグについて理解しよう

今回は、β-ラクタム系の抗生物質に関する問題ですね。 それでは早速、選択肢を見ていきましょう。 【1】……この骨格はペネムではなくてセフェムですので、×です。 下に示した4つの骨格は、とくに有名なので覚えておきましょう。 いずれも、β-ラクタム系抗生…

【薬剤師国家試験 第102回 問209】グルタチオンはメルカプト基が反応する

アセトアミノフェンとAが反応して生じる付加体を、選択肢の中から選んでいきましょう。 グルタチオンの大きな特徴は、メルカプト基(–SH)が反応することです。 この官能基は、代謝物Aのどの位置に反応するのでしょうか? 前問では、チオール(-SHをもつ化合…

【薬剤師国家試験 第102回 問207】チオールはエノンに1,4-付加(Michael付加)する

メスナとアクロレインが反応して、生成する化合物Aの構造を5つの選択肢の中から選ぶ問題です。 メスナの右端の部分は非常に強い酸(スルホン酸)の共役塩基です。 そのため、この部分の反応性はとても低いです。 反応に関わるのはチオールの部分(メルカプ…

【薬剤師国家試験 第102回 問108】NMRはシンプルなピークから解析していこう

問108は、NMRの問題です。 NMRの問題は、第103回の問107で行なったように、個人的にはシンプルなピークから解析していくのがベターだと思います。*1 それでは、シンプルなピークから、どのような官能基があるのか判断し、5つある選択肢を絞っていきましょう…

【薬剤師国家試験 第102回 問107】アダマンタン骨格の特徴を理解しよう

【1】……「ピペリジン」の構造は、シクロヘキサン(6員環)の炭素原子の一つが窒素原子になっているものでした。 ビルダグリプチンの右側の構造は5員環ですので、「ピペリジン」ではなく、「ピロリジン」です。 この2つの構造はよく出てきますので、必ず…

【薬剤師国家試験 第102回 問106】ペプチドの構造を見極めよう

ペプチド系の医薬品に関する問題ですね。 アミノ酸が繋がっていて、両端が修飾されています。 それでは早速、選択肢を見ていきましょう。 【1】……一般的にN末端は、ペプチドを問題の図のように書いたとき、左端のことを指しますよね。 設問には、「D-プロリ…

【薬剤師国家試験 第102回 問105】変化している部分構造に着目しよう

体内では、グアニンが加水分解されることによってキサンチンに変換された後、酸化されて尿酸が生成するそうです。 この問題では、途中で生じるキサンチンの構造を考えます。 最終的に尿酸に変換されるためには、図の位置a, bのどちらかに、酸素原子が導入さ…

【薬剤師国家試験 第102回 問104】フリーデル・クラフツ アルキル化 〜解法はニ通りある〜

化合物Aを塩化アルミニウムと反応させて化合物Bを合成し、水酸化ナトリウムを用いる条件でジクロフェナクナトリウムに変換しています。 第一段階のAlCl3で思い出される反応は、Friedel–Craftsアルキル化ではないでしょうか? 下記のような反応でしたね。 ハ…

【薬剤師国家試験 第102回 問103】LAH還元の反応機構を書こう

水素化アルミニウムリチウム(LAH、LiAlH4)を用いたカルボン酸の還元ですね。 この反応の大まかな流れは、次のようになります。 カルボン酸からアルデヒドに還元された後、そのアルデヒドがさらに還元されます。 反応はAのリチウムアルコキシドでストップし…

【薬剤師国家試験 第102回 問102】オゾン分解による結合の切断パターンを思い出そう

オレフィンに対してオゾン(O3)を作用させて、ジメチルスルフィド((CH3)2S)や、亜鉛(Zn)などの還元剤で処理すると、炭素と炭素の二重結合が切断されます。 最後は、還元剤((CH3)2SやZn)で処理します。 この反応は、いわゆる「オゾン分解」ですよね。…

【薬剤師国家試験 第102回 問101】反応機構と生成物の対称性に注意して解こう

選択肢の反応の主生成物が、ラセミ体なのかどうかを聞いています。 この問題を解くためには、反応機構を正しく理解していることが大切です。 反応機構を一つずつ確認していきましょう。 【1】……この反応は、ヒドロホウ素化(ハイドロボレーション)ですね。…

【薬剤師国家試験 第102回 問10】塩基性の強さを比較しよう

塩基性の強さを比較する問題です。 それでは早速、選択肢を1つずつ見ていきましょう。 【1】……カルボキシル基は、もちろん酸性を示す官能基ですよね。 正解候補にはなり得ません。 【2】……この官能基はグアニジノ基と呼ばれており、塩基性を示します。 2…

【薬剤師国家試験 第102回 問9】ルイス構造式を書いて考えよう

オゾンの構造式を選ぶ問題です。 はじめに、あり得そうにない構造から除外していきましょう。 まず、5番の三員環を除外しましょう。 歪みが大きい三員環を、電気陰性度が高い酸素原子で構築できるとは思えません(例えば、過酸化物-O–O-は不安定)。 4番の…

【薬剤師国家試験 第102回 問8】反応機構を書いてラジカルが発生しているかどうか確認しよう

ラジカル中間体を経る反応はどれか……ということなので、反応の途中でラジカルが発生していなくてはいけません。 じつは、選択肢の試薬や反応条件を見るだけでも答えにたどり着けますが、どんな引っ掛けが潜んでいるか分からないので、こういう問題は反応機構…

【薬剤師国家試験 第102回 問7】鏡に映した構造を書いてみよう

キラルなのか、アキラルなのかは問われていますね。 頭の中でイメージして判別できる人にとっては、簡単に解ける問題だと思います。 イメージすることが難しい人は、鏡に映した構造を書き出してみましょう。 イメージできる人も、怪しい選択肢については書き…

【薬剤師国家試験 第102回 問6】名前から構造を予想しよう

第102回、薬剤師国家試験を解説していきますね。 化学分野、とくに有機化学を中心に扱っていきます。 この問題では、シスプラチンの構造について問われていますね。 『(SP-4-2)-』という表記は、初めて目にしたと思います。 命名の本を見てみると、たしかに…

【薬剤師国家試験 第103回 問213】不斉中心の有無と反応形式を見極めよう

第103回の最後は、オメプラゾールに関する問題です。 有機化学の考え方が必要になってきます。 はじめに、各工程で何が起こっているのか見ていきましょう。 オメプラゾールのすぐ近くに書かれている「及び鏡像異性体」という言葉が気になりますね。 硫黄原子…

【薬剤師国家試験 第103回 問210】配位能を比較しよう

問210はキレートに関する問題です。 配位子は、基本的に非共有電子対を介して金属イオンに配位しますよね。 このポイントを踏まえて、1〜5の原子がもつ非共有電子対に着目していきましょう。 1と2の窒素原子がもつ非共有電子対は、sp2軌道に入っています…

【薬剤師国家試験 第103回 問209】レボドパ→ドパミンの知識をもって問題に臨もう

問209は薬理の問題に見えますが、有機化学の知識も必要です。 早速、解いていきましょう。 セレギリン、レボドパ、カルビドパの構造が示されています。 レボドパはアミノ酸トランスポーターにより脳内に取り込まれ、脳内で「芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素」と…

【薬剤師国家試験 第103回 問207】共鳴構造式を書いて共役系の長さを見極めよう

今回から、実践問題に入りますね。 問題文から、一番長い共役系をもつ化合物を選べば良いことが分かります。 共役している構造を囲ってみましょう。 正解は、明らかに5番の化合物ですね。 構造がsp3混成の状態で書かれている窒素原子があると共役系が途切れ…

【薬剤師国家試験 第103回 問107】NMRはシンプルなピークから解析していこう

問107はNMRの問題です。 NMRの問題は、シンプルなピークから解析していきましょう。 分かりやすいピークから帰属し、5つある選択肢をどんどん減らしていきましょう。 まずは、一重線から特定していきましょう。 基本的に、3–4ppmの3Hの一重線(イ)はメト…

【薬剤師国家試験 第103回 問106】複雑な構造に惑わされずにアルドール反応であることを見抜こう

問106の問題を解いていきましょう。 問題文に「アルドラーゼ」、「アルドール反応」、「逆アルドール反応」と書いてあることから、アルドール反応の問題であることが分かりますね。 左側に書いてある反応物Aが分解し、2つの化合物が生成しています。 このこ…

【薬剤師国家試験 第103回 問105】酵素と基質の相互作用について考えよう

今回は、酵素の活性部位に関する問題です。 とても難しそうな問題が出題されました。 基質タンパク質のペプチド結合、すなわちアミド結合が、酵素によって加水分解されます。 酵素を構成するアミノ酸のうち、この反応に大きく関わるのが、ヒスチジン(His)…

【薬剤師国家試験 第103回 問104】原因を予想してから改善方法を考えよう

問104は、酸塩化物とアミンの反応に関する問題です。 問題文を読んでみると、反応が途中で止まってしまったので、その改善方法を聞かれていることが分かりますよね。 かなり実践的な問題のようです。 改善方法を考える前に、なぜ止まってしまったのかを考え…

【薬剤師国家試験 第103回 問103】SN1反応の反応機構を書いて解こう

問103は、問題文にSN1反応と明記してあります。 SN1反応の知識をもって解いていきましょう。 【1】……命名法に関する設問です。 鎖状の炭化水素を命名する際には、はじめに主鎖を見極めましょう。 一番長い炭素鎖を探します。 一番長い部分は下に示したとこ…

【薬剤師国家試験 第103回 問102】エポキシ化→加水分解の反応機構を書いて考えよう

問102は反応機構に関する問題です。 有名な試薬である「m-クロロ安息香酸」が登場しています。 この試薬を使っているときは、たいてい「エポキシ化」か「Baeyer–Villiger酸化」の反応に関する問題になります。 今回は、この試薬をオレフィンと反応させている…

【薬剤師国家試験 第103回 問101】シクロヘキサン誘導体の最安定配座を書いてみよう

問101はシクロヘキサン誘導体の立体配座に関する問題です。 設問に色々書いてありますが、まずは最も安定と思われる立体配座を図示してみましょう。 今さらかもしれませんが、シクロヘキサンの書き方を確認しておきますね。 下図のように、平行な線を2本ず…

【薬剤師国家試験 第103回 問100】酸素原子の電子数を数えることから始めよう

今回から理論問題に移ります。 問100は非常に難しそうな問題ですが、落ち着いて解いていきましょう。 電子(↑と↓)の総数を数えてみると、17個ありますね。 酸素原子(O)の電子数は8なので、酸素分子(O2)ならば電子を計16個もっていることになりますよね…

【薬剤師国家試験 第103回 問10】酸性度は共役塩基の安定性を比較しよう

問10は、pKa値に関する問題です。 酸性度や塩基性度を比較する問題は頻出ですよね。 化合物の酸性度を比較するときは、プロトンを放出した後のアニオン(共役塩基)を考えると分かりやすいです。 各々のカルボン酸を眺めてみると、酢酸および酢酸にハロゲン…

【薬剤師国家試験 第103回 問8】芳香族性を示すための条件を確認しよう

問8は芳香族性に関する問題です。 芳香族性を示すためには、「①環状に非局在化した π電子を4n+2個もつ」、かつ、「② その環が平面構造である」必要があります。 この2つの条件は、必ず覚えておきましょう。 まずは、「① 環状に非局在化した π電子を4n+2個も…