【薬剤師国家試験 第102回 問207】チオールはエノンに1,4-付加(Michael付加)する
メスナとアクロレインが反応して、生成する化合物Aの構造を5つの選択肢の中から選ぶ問題です。
メスナの右端の部分は非常に強い酸(スルホン酸)の共役塩基です。
そのため、この部分の反応性はとても低いです。
反応に関わるのはチオールの部分(メルカプト基)で、アクロレインのエノン部位と反応します。
一般的にチオールは、エノンに対して1,2-付加よりも1,4-付加を優先的に起こします。
第104回、問209の余談で述べたように、チオールはエノンに1,4-付加(Michael付加)します。*1
このことを踏まえて、問題を解いてみましょう。
細かいところは異なるかもしれませんが、反応機構の大筋は下記のとおりです。
まず、チオールの硫黄原子がエノンの4と書かれた炭素原子に付加します。
続いて、チオール部位(-SH)のプロトンの移動を経て、エノールが生じます。
最後に、エノール型から安定なケト型への互変異性化が起こります。
1,4-付加した後は、元々あった3位と4位を結ぶ二重結合がなくなるので、ご注意ください。
というわけで、5番の化合物ではなく1番の化合物が生成します。
以上のように、正解は1番の化合物でした。
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問題の出典: 厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000168886.html)