第102回 薬剤師国家試験(有機化学)解説
今回は、β-ラクタム系の抗生物質に関する問題ですね。 それでは早速、選択肢を見ていきましょう。 【1】……この骨格はペネムではなくてセフェムですので、×です。 下に示した4つの骨格は、とくに有名なので覚えておきましょう。 いずれも、β-ラクタム系抗生…
アセトアミノフェンとAが反応して生じる付加体を、選択肢の中から選んでいきましょう。 グルタチオンの大きな特徴は、メルカプト基(–SH)が反応することです。 この官能基は、代謝物Aのどの位置に反応するのでしょうか? 前問では、チオール(-SHをもつ化合…
メスナとアクロレインが反応して、生成する化合物Aの構造を5つの選択肢の中から選ぶ問題です。 メスナの右端の部分は非常に強い酸(スルホン酸)の共役塩基です。 そのため、この部分の反応性はとても低いです。 反応に関わるのはチオールの部分(メルカプ…
問108は、NMRの問題です。 NMRの問題は、第103回の問107で行なったように、個人的にはシンプルなピークから解析していくのがベターだと思います。*1 それでは、シンプルなピークから、どのような官能基があるのか判断し、5つある選択肢を絞っていきましょう…
【1】……「ピペリジン」の構造は、シクロヘキサン(6員環)の炭素原子の一つが窒素原子になっているものでした。 ビルダグリプチンの右側の構造は5員環ですので、「ピペリジン」ではなく、「ピロリジン」です。 この2つの構造はよく出てきますので、必ず…
ペプチド系の医薬品に関する問題ですね。 アミノ酸が繋がっていて、両端が修飾されています。 それでは早速、選択肢を見ていきましょう。 【1】……一般的にN末端は、ペプチドを問題の図のように書いたとき、左端のことを指しますよね。 設問には、「D-プロリ…
体内では、グアニンが加水分解されることによってキサンチンに変換された後、酸化されて尿酸が生成するそうです。 この問題では、途中で生じるキサンチンの構造を考えます。 最終的に尿酸に変換されるためには、図の位置a, bのどちらかに、酸素原子が導入さ…
化合物Aを塩化アルミニウムと反応させて化合物Bを合成し、水酸化ナトリウムを用いる条件でジクロフェナクナトリウムに変換しています。 第一段階のAlCl3で思い出される反応は、Friedel–Craftsアルキル化ではないでしょうか? 下記のような反応でしたね。 ハ…
水素化アルミニウムリチウム(LAH、LiAlH4)を用いたカルボン酸の還元ですね。 この反応の大まかな流れは、次のようになります。 カルボン酸からアルデヒドに還元された後、そのアルデヒドがさらに還元されます。 反応はAのリチウムアルコキシドでストップし…
オレフィンに対してオゾン(O3)を作用させて、ジメチルスルフィド((CH3)2S)や、亜鉛(Zn)などの還元剤で処理すると、炭素と炭素の二重結合が切断されます。 最後は、還元剤((CH3)2SやZn)で処理します。 この反応は、いわゆる「オゾン分解」ですよね。…
選択肢の反応の主生成物が、ラセミ体なのかどうかを聞いています。 この問題を解くためには、反応機構を正しく理解していることが大切です。 反応機構を一つずつ確認していきましょう。 【1】……この反応は、ヒドロホウ素化(ハイドロボレーション)ですね。…
塩基性の強さを比較する問題です。 それでは早速、選択肢を1つずつ見ていきましょう。 【1】……カルボキシル基は、もちろん酸性を示す官能基ですよね。 正解候補にはなり得ません。 【2】……この官能基はグアニジノ基と呼ばれており、塩基性を示します。 2…
オゾンの構造式を選ぶ問題です。 はじめに、あり得そうにない構造から除外していきましょう。 まず、5番の三員環を除外しましょう。 歪みが大きい三員環を、電気陰性度が高い酸素原子で構築できるとは思えません(例えば、過酸化物-O–O-は不安定)。 4番の…
ラジカル中間体を経る反応はどれか……ということなので、反応の途中でラジカルが発生していなくてはいけません。 じつは、選択肢の試薬や反応条件を見るだけでも答えにたどり着けますが、どんな引っ掛けが潜んでいるか分からないので、こういう問題は反応機構…
キラルなのか、アキラルなのかは問われていますね。 頭の中でイメージして判別できる人にとっては、簡単に解ける問題だと思います。 イメージすることが難しい人は、鏡に映した構造を書き出してみましょう。 イメージできる人も、怪しい選択肢については書き…
第102回、薬剤師国家試験を解説していきますね。 化学分野、とくに有機化学を中心に扱っていきます。 この問題では、シスプラチンの構造について問われていますね。 『(SP-4-2)-』という表記は、初めて目にしたと思います。 命名の本を見てみると、たしかに…