ばけがくしゃの勉強ブログ

薬剤師国家試験、有機化学、プログラミング、etc.

第103回 薬剤師国家試験(有機化学)解説

【薬剤師国家試験 第103回 問213】不斉中心の有無と反応形式を見極めよう

第103回の最後は、オメプラゾールに関する問題です。 有機化学の考え方が必要になってきます。 はじめに、各工程で何が起こっているのか見ていきましょう。 オメプラゾールのすぐ近くに書かれている「及び鏡像異性体」という言葉が気になりますね。 硫黄原子…

【薬剤師国家試験 第103回 問210】配位能を比較しよう

問210はキレートに関する問題です。 配位子は、基本的に非共有電子対を介して金属イオンに配位しますよね。 このポイントを踏まえて、1〜5の原子がもつ非共有電子対に着目していきましょう。 1と2の窒素原子がもつ非共有電子対は、sp2軌道に入っています…

【薬剤師国家試験 第103回 問209】レボドパ→ドパミンの知識をもって問題に臨もう

問209は薬理の問題に見えますが、有機化学の知識も必要です。 早速、解いていきましょう。 セレギリン、レボドパ、カルビドパの構造が示されています。 レボドパはアミノ酸トランスポーターにより脳内に取り込まれ、脳内で「芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素」と…

【薬剤師国家試験 第103回 問207】共鳴構造式を書いて共役系の長さを見極めよう

今回から、実践問題に入りますね。 問題文から、一番長い共役系をもつ化合物を選べば良いことが分かります。 共役している構造を囲ってみましょう。 正解は、明らかに5番の化合物ですね。 構造がsp3混成の状態で書かれている窒素原子があると共役系が途切れ…

【薬剤師国家試験 第103回 問107】NMRはシンプルなピークから解析していこう

問107はNMRの問題です。 NMRの問題は、シンプルなピークから解析していきましょう。 分かりやすいピークから帰属し、5つある選択肢をどんどん減らしていきましょう。 まずは、一重線から特定していきましょう。 基本的に、3–4ppmの3Hの一重線(イ)はメト…

【薬剤師国家試験 第103回 問106】複雑な構造に惑わされずにアルドール反応であることを見抜こう

問106の問題を解いていきましょう。 問題文に「アルドラーゼ」、「アルドール反応」、「逆アルドール反応」と書いてあることから、アルドール反応の問題であることが分かりますね。 左側に書いてある反応物Aが分解し、2つの化合物が生成しています。 このこ…

【薬剤師国家試験 第103回 問105】酵素と基質の相互作用について考えよう

今回は、酵素の活性部位に関する問題です。 とても難しそうな問題が出題されました。 基質タンパク質のペプチド結合、すなわちアミド結合が、酵素によって加水分解されます。 酵素を構成するアミノ酸のうち、この反応に大きく関わるのが、ヒスチジン(His)…

【薬剤師国家試験 第103回 問104】原因を予想してから改善方法を考えよう

問104は、酸塩化物とアミンの反応に関する問題です。 問題文を読んでみると、反応が途中で止まってしまったので、その改善方法を聞かれていることが分かりますよね。 かなり実践的な問題のようです。 改善方法を考える前に、なぜ止まってしまったのかを考え…

【薬剤師国家試験 第103回 問103】SN1反応の反応機構を書いて解こう

問103は、問題文にSN1反応と明記してあります。 SN1反応の知識をもって解いていきましょう。 【1】……命名法に関する設問です。 鎖状の炭化水素を命名する際には、はじめに主鎖を見極めましょう。 一番長い炭素鎖を探します。 一番長い部分は下に示したとこ…

【薬剤師国家試験 第103回 問102】エポキシ化→加水分解の反応機構を書いて考えよう

問102は反応機構に関する問題です。 有名な試薬である「m-クロロ安息香酸」が登場しています。 この試薬を使っているときは、たいてい「エポキシ化」か「Baeyer–Villiger酸化」の反応に関する問題になります。 今回は、この試薬をオレフィンと反応させている…

【薬剤師国家試験 第103回 問101】シクロヘキサン誘導体の最安定配座を書いてみよう

問101はシクロヘキサン誘導体の立体配座に関する問題です。 設問に色々書いてありますが、まずは最も安定と思われる立体配座を図示してみましょう。 今さらかもしれませんが、シクロヘキサンの書き方を確認しておきますね。 下図のように、平行な線を2本ず…

【薬剤師国家試験 第103回 問100】酸素原子の電子数を数えることから始めよう

今回から理論問題に移ります。 問100は非常に難しそうな問題ですが、落ち着いて解いていきましょう。 電子(↑と↓)の総数を数えてみると、17個ありますね。 酸素原子(O)の電子数は8なので、酸素分子(O2)ならば電子を計16個もっていることになりますよね…

【薬剤師国家試験 第103回 問10】酸性度は共役塩基の安定性を比較しよう

問10は、pKa値に関する問題です。 酸性度や塩基性度を比較する問題は頻出ですよね。 化合物の酸性度を比較するときは、プロトンを放出した後のアニオン(共役塩基)を考えると分かりやすいです。 各々のカルボン酸を眺めてみると、酢酸および酢酸にハロゲン…

【薬剤師国家試験 第103回 問8】芳香族性を示すための条件を確認しよう

問8は芳香族性に関する問題です。 芳香族性を示すためには、「①環状に非局在化した π電子を4n+2個もつ」、かつ、「② その環が平面構造である」必要があります。 この2つの条件は、必ず覚えておきましょう。 まずは、「① 環状に非局在化した π電子を4n+2個も…

【薬剤師国家試験 第103回 問6,7,9】置換基の命名・絶対立体配置・亜鉛の酸化数

今回から、第103回の薬剤師国家試験に入ります。 必須問題の問6,7,9は比較的簡単なので、一気に解説しますね(問8は次回です)。 置換基の命名に関する問題ですね。 「2-メチルブチル基」ということなので、ブチル基の2番目にメチル基をくっつければいい…