第104回 薬剤師国家試験(有機化学)解説
問213は、バラシクロビルに関する問題です。 この問題で第104回薬剤師国家試験の解説を終わりにします。 【1】……バラシクロビルがプロドラッグであるならば、生体内で構造のどこかが変わるはずです。 プロドラッグの典型的な変換は、エステルの加水分解です…
問211は、前問に引き続き、生体内で医薬品がどのように変換されるのかを考える問題です。 今度は排泄に関する変換ですね。 問題文のとおり、基本的に医薬品は、生体内で水溶性の高い化合物に変換されてから排泄されるんでしたよね。 尿の主成分は水ですから…
プラスグレルという医薬品の代謝経路に関する問題ですね。 問題文から、この医薬品はプロドラッグであることが分かります。 スキームを見てみると、三段階の変換を経て活性代謝物になるようです。 それでは、各段階で何が起こっているのか確認していきましょ…
今回から実践問題(有機化学限定)に入ります。 かつての薬剤師国家試験(〜96回まで)には、この手の問題は少なかったですね……。 私は医療現場で働いた経験がありませんが、化学の力で実践問題を解いてみますね! 【1】……錯体は配位子交換しますよね。 シ…
問106は、NMRの問題です。 問題文に記載されている示性式のような構造を見ながら解いていくと、分かりにくくて間違えるリスクが高いです。 まずは化合物を構造式に書き直しましょう。 このとき、Hを省略したり、メチル基を「Me」にしたりせずに、構造がはっ…
続いて、問105を解いていきましょう。 亜硝酸ナトリウムとHClから発生するのはニトロソニウムイオンです。 反応機構を書けるようにしておきましょう。 【3】のアニリンと反応した場合、塩化ベンゼンジアゾニウムが生成しますよね。 高校化学でもおなじみの…
この問題では、活性メチレンについて、そして求核置換反応について学べます。 これらについて、しっかりと復習しましょう! 下記のように、活性メチレン部位のHを塩基であるナトリウムエトキシドが引き抜き、エノラートが生成します。 生じたエノラートはハ…
続いて、問103を解いていきましょう。 この反応は、ケトンとヒドラジン誘導体の反応ですね。 大学の講義では、「シッフ塩基」とか「カルボニル試薬」という言葉を用いた説明があったかもしれません。 まずは、各々の化合物のどの官能基が反応に関わるのかを…
問102は生体内での反応の、反応形式を判別する問題です。 求核置換反応(SN反応)に分類される反応を選ぶわけですね。 SN反応という用語は、SN1反応とSN2反応のことを意味しているのだと思います。*1 それでは、SN1反応とSN2反応を選んでいきましょう! 【1…
問101はE2反応と六員環(シクロヘキサン)の化学を組み合わせた問題ですね。 学ぶことが多い問題ですので、しっかりと復習しておきましょう。 問題文にE2反応と書いてあります。 強塩基であるナトリウムエトキシド(NaOC2H5)によって反応物のHが1つ引き抜…
さて、ここからは理論問題に移りますね(有機化学に関連した問題に限定しています)。 早速、問100から始めていきます。 有名なキレート剤、EDTAに関する問題です。 【1】……十座配位子ということですが、そんなに多くの箇所で配位しないですよね。 カルボキ…
問9は、 ヒスタミンに含まれる複素環を選ぶ問題です。 ヒスタミンの構造を覚えているならば難なく解けますが、覚えていないのであればアミノ酸や生合成の知識が必要です。 ヒスタミンは、生体内でアミノ酸のヒスチジンから生成するんでしたよね。 ヒトのタ…
問8は鎖状アルカンの安定配座に関する問題ですね。 この手の問題は、各々の配座異性体(コンホマー)をNewman投影式に書き直して考えていきましょう。 選択肢の1を例にしてNewman投影式を書いてみますね。 問題文で「C2-C3結合を回転させた」と言っていま…
続いて、第104回の問7を解いていきましょう。 塩基性の強さを比較する問題ですね。 1の化合物はグアニジンであり、塩基性を示します。 塩基性の強さを評価するときは、評価する化合物をプロトン化してみると理解しやすくなります。 その様子を下に示しまし…
有機化学を中心に、薬剤師国家試験の解説をしていきたいと思います! 私のスペック……薬学部卒(薬剤師免許取得)→ 大学院で有機化学の研究 (博士号取得)、製薬企業の研究員と大学の教員を合わせて計5年以上の職歴あり。 それでは、第104回から遡っていきま…