
問題の反応式を見てみると、ボルテゾミブのホウ素原子と、タンパク質中の水酸基が結合しています。
水素結合などの弱い相互作用ではなく、しっかりと共有結合する比較的新しいタイプの薬です(結合する際の様式は片方が2個の電子を与える配位結合ですが)。
【1】×
ピリミジンではなく、ピラジンです。
窒素の位置に注意しましょう。

【2】×
水素原子を向こう側にして、優先順位の高い置換基の順にたどっていきます。
不斉炭素原子に直接結合している原子に着目し、原子番号が大きいほうから順に『N→C→B』とたどっていくと、時計回りなのでR配置です。
原子番号が分からなくなったら、『水兵リーベー……』と数えましょう。

この「R」はラテン語の右を意味するこの単語(rectus)に由来します。
「S」は左を意味するこの単語(sinister)に由来します。
ちなみに私は、時計回りだったら現実……リアル(Real)の世界なので「R」。
そうでないなら「S」と覚えています。
【3】○
ルイス酸とルイス塩基について考えましょう。
電子対を与えるほうがルイス塩基で、それを受け取る空軌道をもつほうがルイス酸です。
ホウ素原子は空軌道をもち、ヒドロキシ基の酸素原子は非共有電子対をもちます。
そのため、ボルテゾミブがホウ素原子を使ってルイス酸として働き、β5サブユニットがトレオニン残基のヒドロキシ基を使ってルイス塩基として働いています。
【4】×
ホウ素原子の電子配置は[(1s)2
1s軌道の電子は結合形成に使われないので、ホウ素原子の価電子の数は3個です。
ボルテゾミブの構造内のホウ素原子の周囲だけルイス構造式で書いてみました(下図)。
それ以外は実線で書いていたり波線で省略していたり、変則的な示し方になっていますのでご注意ください(正式な書き方とは言い難い)。

このホウ素原子に属している電子を数えてみましょう。
ホウ素原子とその他の原子でシェアしている6つの電子を半々にして数える……という意味です。
ホウ素原子に属している電子の数は3個であり、元々の価電子の数と合っており、形式電荷は書かれません(あえて符号と数字で表すとしたら±0)。
問題に示されているボルテゾミブの構造式を見てわかるとおり、やはりホウ素原子上に形式電荷は書かれていませんよね。
それに対して、問題の複合体は、下図のとおりホウ素原子に属している電子が4個なので、ホウ素原子の価電子の数よりも1個多いです。
(負の電荷をもつ)電子が1個多い状態なので、ホウ素原子の形式電荷は−1というわけです。
+1ではないので、【4】の選択肢の記述は間違いです。

なお、形式電荷の付け方の詳細を知りたい方は、次の記事を参考にしてください↓
chemist-programming.hatenablog.jp
【5】○
複合体のホウ素原子は4本の単結合をもつため、sp3混成軌道といえます。
以上のことから、正解は【3】と【5】の選択肢です。
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問題の出典: 厚生労働省ホームページ
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198924.htmll)


























