NMRの問題は、シンプルでわかりやすいシグナルから解析していきましょう。 今回の問題では「加水分解反応によって得られた化合物はアとウに相当するシグナルが消えた」という追加の手掛かりがあるので、このことも頭に入れながら選択肢を絞っていきます。 ち…
第105回薬剤師国家試験の問106では、加水分解酵素に関する問題が出題されました。 まずは反応機構について詳しく見ていきましょう。 アセチルコリンエステラーゼ(AChE)が引き起こす化学反応によってアセチルコリンのエステル結合が切断されます。 この反応…
今回は、一酸化窒素の生合成に関する問題です。 1つずつ設問を見ていきましょう。 【1】× 一酸化窒素合成酵素(nitric oxide synthase, NOS)が働き、L-アルギニンと酸素分子(O2)から、L-シトルリンと一酸化窒素(NO)が生成します(この際、NADPHをはじ…
第105回薬剤師国家試験の問104「芳香族求電子置換反応」に関する問題です。 化合物Aの反応では、どのようなことが起こっているのでしょうか? 今回は設問に答えながら解説していきます。 【1】× 硝酸と硫酸の組み合わせは「ニトロ化」の条件ですよね。 よく…
今回は、ハロゲン化アルキルを用いた求核置換反応について、ポテンシャルエネルギー図を見ながら考える問題です。 図の横軸は反応の進行を、縦軸は自由エネルギーの変化を示しています。 まずは、求核置換反応の反応形式を見ていきましょう。 このような反応…
今回は、合成経路の問題を解いていきましょう。 アルケンAへの付加反応が2通り書かれています。 選択肢を見てみると、反応の形式や生成物の立体化学について考える必要があることが分かります。 こういった合成経路が示された問題を解くさいには、一つ一つ…
これら5つの立体異性体が、キラルなのかアキラルなのかを判定する必要があります。 次の図に示したように、分子内の対称面を見つけて判断するのが一般的な解き方かと思います。 赤色もしくは青色で示した直線が対称面を示しています。 このように、立体異性…
前回の記事(RS表示について)↓ chemist-programming.hatenablog.jp 今回の記事では、薬剤師国家試験の問題にトライします。 第105回の問7です。 不斉炭素原子のRもしくはSを帰属していきましょう。 化合物を命名する問題ですね。 まず、一番長い炭素鎖に番…
前回の記事(不斉炭素原子について)↓ chemist-programming.hatenablog.jp 前回は、不斉炭素原子について基本的な事柄を説明しました。 今回は下記の乳酸を例にして、各々のエナンチオマーがRなのかSなのか、その帰属について詳しく説明していきます。 それ…
本記事から、不斉炭素原子をもつ分子がR配置なのかS配置なのかを決定する方法について解説していきます。 以下の3つの記事に分けて投稿します。 ① 不斉炭素原子について ②R配置なのかS配置なのか……その決め方の定義について ③ 第105薬剤師国家試験の問7を解…
前回の記事(共鳴構造式の基本について)↓ chemist-programming.hatenablog.jp 今回は問題を解きながら、共鳴構造式の様々な例を見ていきましょう。 第101回薬剤師国家試験の問8です。 選択肢は、全部で5つあります。 1番のカルボキシラートイオンは、前回…
今回は共鳴構造式について説明します。 2つの記事に分けて投稿します。 ① 共鳴構造式の基本 ② 第101薬剤師国家試験の問8を解きながら補足 それでは、早速始めていきましょう。 下に示したのは酢酸イオンの構造です。 今回のテーマである共鳴構造式に深く関…
前回の記事(形式電荷について)↓ chemist-programming.hatenablog.jp 今回は、問題を解きながら、ルイス構造式と形式電荷について理解を深めていきたいと思います。 第105回薬剤師国家試験の問6です。 選択肢には、炭素原子1つと水素原子を3つもつ様々な…
前回の記事(ルイス構造式の基本)↓ chemist-programming.hatenablog.jp 前回は、ルイス構造式について基本的なことを述べました。 この記事では、電荷をもつイオンのルイス構造式を見ていきます。 プラスあるいはマイナスの形式電荷を理解しておかないと、…
大学の有機化学について基礎的なところから順々に説明していこうと思っています。 まずは、ルイス構造式について説明していきますね。 3つの記事に分けて投稿します。 ① ルイス構造式の基本 ② 電荷をもつルイス構造式 ③ 第105薬剤師国家試験の問6を解きなが…
今回は、β-ラクタム系の抗生物質に関する問題ですね。 それでは早速、選択肢を見ていきましょう。 【1】……この骨格はペネムではなくてセフェムですので、×です。 下に示した4つの骨格は、とくに有名なので覚えておきましょう。 いずれも、β-ラクタム系抗生…
アセトアミノフェンとAが反応して生じる付加体を、選択肢の中から選んでいきましょう。 グルタチオンの大きな特徴は、メルカプト基(–SH)が反応することです。 この官能基は、代謝物Aのどの位置に反応するのでしょうか? 前問では、チオール(-SHをもつ化合…
メスナとアクロレインが反応して、生成する化合物Aの構造を5つの選択肢の中から選ぶ問題です。 メスナの右端の部分は非常に強い酸(スルホン酸)の共役塩基です。 そのため、この部分の反応性はとても低いです。 反応に関わるのはチオールの部分(メルカプ…
問108は、NMRの問題です。 NMRの問題は、第103回の問107で行なったように、個人的にはシンプルなピークから解析していくのがベターだと思います。*1 それでは、シンプルなピークから、どのような官能基があるのか判断し、5つある選択肢を絞っていきましょう…
【1】……「ピペリジン」の構造は、シクロヘキサン(6員環)の炭素原子の一つが窒素原子になっているものでした。 ビルダグリプチンの右側の構造は5員環ですので、「ピペリジン」ではなく、「ピロリジン」です。 この2つの構造はよく出てきますので、必ず…
ペプチド系の医薬品に関する問題ですね。 アミノ酸が繋がっていて、両端が修飾されています。 それでは早速、選択肢を見ていきましょう。 【1】……一般的にN末端は、ペプチドを問題の図のように書いたとき、左端のことを指しますよね。 設問には、「D-プロリ…
体内では、グアニンが加水分解されることによってキサンチンに変換された後、酸化されて尿酸が生成するそうです。 この問題では、途中で生じるキサンチンの構造を考えます。 最終的に尿酸に変換されるためには、図の位置a, bのどちらかに、酸素原子が導入さ…
化合物Aを塩化アルミニウムと反応させて化合物Bを合成し、水酸化ナトリウムを用いる条件でジクロフェナクナトリウムに変換しています。 第一段階のAlCl3で思い出される反応は、Friedel–Craftsアルキル化ではないでしょうか? 下記のような反応でしたね。 ハ…
水素化アルミニウムリチウム(LAH、LiAlH4)を用いたカルボン酸の還元ですね。 この反応の大まかな流れは、次のようになります。 カルボン酸からアルデヒドに還元された後、そのアルデヒドがさらに還元されます。 反応はAのリチウムアルコキシドでストップし…
オレフィンに対してオゾン(O3)を作用させて、ジメチルスルフィド((CH3)2S)や、亜鉛(Zn)などの還元剤で処理すると、炭素と炭素の二重結合が切断されます。 最後は、還元剤((CH3)2SやZn)で処理します。 この反応は、いわゆる「オゾン分解」ですよね。…
選択肢の反応の主生成物が、ラセミ体なのかどうかを聞いています。 この問題を解くためには、反応機構を正しく理解していることが大切です。 反応機構を一つずつ確認していきましょう。 【1】……この反応は、ヒドロホウ素化(ハイドロボレーション)ですね。…
塩基性の強さを比較する問題です。 それでは早速、選択肢を1つずつ見ていきましょう。 【1】……カルボキシル基は、もちろん酸性を示す官能基ですよね。 正解候補にはなり得ません。 【2】……この官能基はグアニジノ基と呼ばれており、塩基性を示します。 2…
オゾンの構造式を選ぶ問題です。 はじめに、あり得そうにない構造から除外していきましょう。 まず、5番の三員環を除外しましょう。 歪みが大きい三員環を、電気陰性度が高い酸素原子で構築できるとは思えません(例えば、過酸化物-O–O-は不安定)。 4番の…
ラジカル中間体を経る反応はどれか……ということなので、反応の途中でラジカルが発生していなくてはいけません。 じつは、選択肢の試薬や反応条件を見るだけでも答えにたどり着けますが、どんな引っ掛けが潜んでいるか分からないので、こういう問題は反応機構…
キラルなのか、アキラルなのかは問われていますね。 頭の中でイメージして判別できる人にとっては、簡単に解ける問題だと思います。 イメージすることが難しい人は、鏡に映した構造を書き出してみましょう。 イメージできる人も、怪しい選択肢については書き…