ばけがくしゃの勉強ブログ

薬剤師国家試験、有機化学、プログラミング、etc.

【薬剤師国家試験 第104回 問8】鎖状アルカンの配座異性体はNewman投影式で考えよう

 問8は鎖状アルカンの安定配座に関する問題ですね。

 この手の問題は、各々の配座異性体(コンホマー)をNewman投影式に書き直して考えていきましょう。

 

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 選択肢の1を例にしてNewman投影式を書いてみますね。

 問題文で「C2-C3結合を回転させた」と言っていますので、この2つの炭素をメインにして書いていきましょう。

 自分にとって書きやすい方向から覗いてみて、Newman投影式に書き換えることがポイントです。

 私はC2の方向から覗いたので、手前のCがC2で示した炭素原子です。

 後ろの大きな円がC3で示した炭素原子です。

 これがNewman投影式でしたね。

 ちなみに、ブタンは対称構造をもつ分子であり、どちらから番号を振っても同じですよ。 

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 もう一つのポイントを説明しますので、下図の左側を見てください。

 青い矢印で示した2つのHは、C2とC3と同一平面上にあります。

 点線や太線ではなく、実線で結ばれているところは、同一平面上にあるんでしたよね。

 Newman投影式では、同一平面上にある原子を一直線に書くことがポイントです。

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 さて、Newman投影式が書けたところで、問題の答えを考えていきましょう。

1のNewman投影式を見てみると、2つのメチル基が反対側を向いていますね。

いきなり最も安定な配座異性体でした。

  Newman投影式は、慣れてくれば頭の中で書けますが、なかなか難しいと思いますので、一応、2から5まで書いてみますね。

 2から5までの配座は、2つのメチル基が隣接していますね。

 このような配座は、1の配座と比較すると不安定です。

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問題の出典: 厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198921.html

【薬剤師国家試験 第104回 問7】塩基性の強さを比較しよう

 続いて、第104回の問7を解いていきましょう。

 

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 塩基性の強さを比較する問題ですね。

 1の化合物はグアニジンであり、塩基性を示します。

 塩基性の強さを評価するときは、評価する化合物をプロトン化してみると理解しやすくなります。

 その様子を下に示しました。

 赤い矢印で示した位置の窒素原子がプロトン化されると、共鳴構造式を書くことができますよね。

 共鳴構造式が書けるということは、共役酸が安定化されているということです。

 そのため、グアニジンは強い塩基性を示します。

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 2の化合物はアミド構造をもっていますね。

 アミド構造をもつ化合物は、他に特徴的な官能基をもっていなければ、基本的に中性と考えていいでしょう。

 アミド構造における窒素原子の非共有電子対は、隣接するカルボニル基に引っ張られているのでプロトン化を受けづらいのです。     

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 3の化合物は第1級アミンであり、もちろん塩基性を示します。

 ただし、その強さは、プロトン化されると共鳴安定化を受ける1のグアニジンには及びません。

 

 4の化合物は芳香族性をもつ化合物、インドールです。

 窒素原子がもつ非共有電子対は、下の共鳴構造式が示すように、環上に非局在化しています。

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 さて、インドールが芳香族性を示すかどうか確認するために、環上にπ電子がいくつあるのか数えてみましょう。*1

 ベンゼン環のp軌道を占める電子(6π)と、窒素原子の右隣にある二重結合のp軌道を占める電子(2π)、そして窒素原子の非共有電子対(2π)を合わせて、10πになります。

 これらのπ電子が非局在化することにより、芳香族性を示している(=安定化している)ため、インドールへのプロトン化は極めて起こりづらいでしょう。

 

 最後の選択肢である5は、DNAやRNAの塩基に含まれている大切な化合物、ピリミジンですよね。

 ピリミジンの構造中には、図に示したようにp軌道を占める電子が6つ存在し、芳香族性を示すための電子がそろっています。  

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 そのため、窒素原子の非共有電子対は選択肢4のときのように共役することはありません。

 下図のように、ピリミジンの非共有電子対はsp2軌道に入っており、塩基性を示します。           

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  さて、ここで、このピリミジンの塩基性の強さを3のアミンと比較してみましょう。

 3のアミンについては、窒素原子の非共有電子対がsp3軌道に入っていますよね。  

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 sp2軌道はsp3軌道よりもs性が高いため、占有している非共有電子対が、より原子核の方に引きつけられているんでしたよね。

 したがって、ピリミジンの非共有電子対は、3のものよりもプロトン化されづらくなっています(=塩基性が弱い)。 

 ただし、これら2つの化合物よりも、共役酸の共鳴構造式が書けるグアニジンが選択肢の中で最も塩基性が強いです。

 というわけで、正解は1番です。

 

 <s性の復習>

 sp軌道……s性が50%

 sp2軌道……s性が33%

 sp3軌道……s性が25%

 

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問題の出典: 厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198921.html

*1:π電子」とはπ結合をつくっている電子のことであり、p軌道に入っています。二重結合のうち、弱い方の結合を形成している電子のことです。

【薬剤師国家試験 第104回 問6】ルイス構造式の電子数を数えよう

 有機化学を中心に、薬剤師国家試験の解説をしていきたいと思います!

 私のスペック……薬学部卒(薬剤師免許取得)→ 大学院で有機化学の研究 (博士号取得)、製薬企業の研究員と大学の教員を合わせて計5年以上の職歴あり。

 それでは、第104回から遡っていきますね。 

 下に示したのは問6(必須問題)です。

 

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 電子の数を数える問題ですね。

 一見すると難しそうに見えますが、ルイス構造式を書くことができれば簡単に解けます。

 個人的には下記のように、(分かりづらいものだけでも)いったん構造式に書き直したほうが間違いを防げると思います。

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 結合の部分を電子に書き換えれば、ルイス構造式になりますよね。

 あとは電子の数を数えればいいだけです。

 答えは3番ということが分かります。

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 ちなみに、「一重項」と「三重項」というのは電子の数ではなく状態を示す用語でしたよね。

 電子の数は変わらないので、惑わされてはいけません。

 

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問題の出典: 厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198921.html

Pythonの「超」入門書をやり遂げました!

【確かな力が身につくPython「超」入門】で勉強し続け、ようやく読み終わりました。

印象に残ったことを書いていきます!

 

まずは、GUIグラフィカルユーザーインターフェース)についてです。

通常、PC内のファイルを開くときはフォルダ内のファイルをクリックして開きますよね。

ファイルを閉じるときは、ウィンドウにある閉じるボタンをクリックします。

今回、ターミナル(コマンドプロント)を使って、それらを行いました。

普段当たり前のように使っているGUIを使わずに、ファイルを開いたり閉じたりしたわけです。

以前、『Linuxは全部コマンドで操作するんだよ』って同僚から聞いたことを思い出しました。

Linuxって大変なんだなぁ……と思いました。

GUIがなかった時代は、こんなに複雑なことをしていたのか……

パソコンはGUIのおかげで広く普及したんだろうな……!

と、思いました。

私の研究分野でも、GUIのおかげで広く普及したものがあります。

それは『量子化学計算』と呼ばれる手法です。

計算により、思い描いた化学反応が進むのかどうかとか、思い描いた分子が存在するのかどうかが予測できます。

この手法を利用するためには、コンピュータを使ってプログラミングのように計算の指示を打ち込む必要があります。

計算専門の研究者しか手を出せず、私のようなフラスコを振って実験ばかりしている研究者には手が出せませんでした。

しかし、GUIが用意されているソフトが出てからというもの、実験系の研究者でも容易にトライできるようになりました。*1

GUIのおかげでハードルが低くなったんですね。

私のようなパソコンが苦手な人間には、GUIに助けられている……と思います笑

 

話は戻りまして、Pythonの勉強の続きです。

ちょっと感動したことがありました。

ターミナルで指示を出し、写真の色を変えることができました!

パソコンの画面の色は赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)のRGBカラーで構成されているそうです。

それらの色を入れ替える指示を出すことができるんです。

(例: 青い花を赤い花にする)

『写真の色を変える』という実際に目で見て非常に分かりやすいアウトプットでしたので、感動しました!

 

さて、ようやく1冊やり遂げたわけですが、プログラミングをしているとき、コンピュータと対話している感じになるときがありました。

ちょっとスペルミスしただけで、コロンを忘れただけで、エラーになってしまいます。

「融通が効かないな〜」と、コンピュータに対して思っていることに気づきました……。

「このぐらいのミス、許してよ!」と、思ってしまうときがありました……。

私の専門である『化学』は意外とフワッとしていることが多いです。

分子は目に見えませんので、頭の中でこんな感じかな〜って妄想することも多いのです笑

プログラミングはキッチリしていますね。

プログラミングを行う際は頭を切り替えてキッチリとしていかないと……と思いました。

 

そんなこんなで「超」入門書を読み終えることができましたが……やはり「リスト型」や「辞書型」などを使いこなすのが難しいですね。

この点が今後の課題となりそうです。

 

*1:Gaussianというソフトがよく使われています。

Pythonの「超」入門書で勉強中です!

すでに購入済みの【確かな力が身につくPython「超」入門】で勉強中です!

この本の流れに沿ってコードを書いていきました。

 

「条件分岐」のところは分かりやすかったですね。

『if』、『elif』、『else』は、各々『もし』、『そうでないならば』、『どちらのケースにも当てはまらないならば』に対応しているようです。

映画館のチケットを例に出し、年齢と金額を設定するプログラムを書く例が載っていたので非常に分かりやすかったです。

 

「繰り返し」の指示は本書に移る前にサイトのゲームで散々やりました。

簡単なゲームで予め学習しておいたのが役に立ったということですね!

これに関しては、マーク・ザッカーバーグさんの「コンピュータは繰り返す作業が得意」という言葉が印象に残っているので、理解しやすかったというのもあると思います!

 

「関数」についても学習しました。

「関数」という概念は、Excelや数学の中でも登場しますよね。

Excelの関数は実用的なので、プログラミングの関数をイメージする上で助けになりました。

中高で学んだ数学の関数とプログラミングの関数は、なかなか結びつきませんでした。

これは私のイメージ力不足だと思います(笑)。

ちなみに、本書では関数を『全自動洗濯機』で例えてくれています。

なるほど……!

 

宿題が1つ残りました。

「リスト型」、「辞書型」、「タプル型」、「集合型」など、データの扱い方に関する分類が本書の序盤で登場しますが、これがけっこう難しいんです。

ちょっと不安ですが、使って行くうちに覚えるかな……と、気楽な感じで進めて行くことにします!

 

Pythonの「超」入門書を購入しました!

鎌田正浩さんの

確かな力が身につくPython「超」入門

を購入しました!

ようやく本格的なプログラミングのスタートです。
とりあえず愛用のiMacPythonを始めました。
 
私はMacを主に使用してきました。
Windowsはたまにしか使っていません。
これは私の化学者としての背景が関係しています。
私の研究分野では、お絵描きソフト『ChemDraw』を使って作図することが多いんです。
このソフトは、分子を構造式と呼ばれる描き方で表現することができます。
例えば、下に示したようなもので、サプリメントとか育毛剤とかのパッケージで見たことがある人も多いと思います。

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私が研究を始めたのは10年以上前になります。
当時は、ChemDrawで作図したプレゼン資料を、Macで表示させた方が明らかに綺麗だったのです。
そんな理由からMacを使い始め、未だにメインのマシンはMacです。
 
PythonWindowsでもMacでも使用可能であり、購入した本は両方に対応していました。
ちなみに私のPCスキルですが、ChemDraw(←簡単)とWordとPowerpointを頻繁に使用し、Excelは時々使う程度です。
 
早速、入門書に従ってPythonをインストールして実行しました。
ターミナル(Windowsだとコマンドプロンプト)を使用したのは初めてだったので、ちょっと感動しました!
行なった内容は……
 
・四則演算
・比較演算子(数字の大小を比較)
・カレンダーを表示する
・変数(に値をセットする。tax = 0.08 など) 
 
……です!
序の口過ぎてプログラミングの有用性が分かりません笑
AIがどんなものかを理解するなんて、まだまだ遥か先の話ですね。
何はともあれ、プログラミングの第一歩を踏み出すことができました……!
 

今、Pythonがアツいらしい

引き続き、購入した本「プログラミング入門講座」で紹介されていた学習サイトで遊びました。

"CodeMonkey"と"CodeCombat"というゲームです。

前者は1時間ぐらい、後者は3時間近く遊びました。

 

 

codemonkey.jp

 

codecombat.com

 

これらは前回の"Hour of Code"と似たような形式でした。

"CodeMonkey"では、サルがバナナを取るのが目的になっています。

"CodeCombat"は、勇者が敵を倒したり、ダンジョンのお宝をゲットしたりすることを目的としています。

 

ただ、今回の2つのゲームは、英語で指示を打ち込むので、プログラミングをしている感じがしてきました。

CodeConbatの場合、例えば……

 

hero.moveRight()

hero.moveDown()

hero.attack("enemy")

 

……という指示を出してから実行すれば、勇者(hero)が右に移動した後、下に移動し、敵(enemy)を攻撃します。

ちなみに、途中からは課金しないと進めなくなります。

 

以上、計3つのサイトをツマミ食いしましたが、これらは全て海外のサイトなんですよね。

この事実は、日本のプラグラミング教育が遅れていることを物語っているのかもしれません。

 

さて、"CodeCombat"に話を戻しますが、これを遊ぶ前に「プログラミング言語」の選択を迫られました。

ちなみに、本屋で見かけた『Python』がデフォルトとして表示されています。

 

購入した本を読み進めてみると、「プログラミング言語」についても書かれていました。

大切だと思ったことを、ざっくりとまとめます。

 

 

1.プログラミングにも、人が話す言語のように様々な言語がある!

 

2.用途・目的ごとにプログラミング言語開発されてきた!

 

3.どのプログラミング言語を学ぶべきなのかは、学ぶ人の目的や興味次第!

 

 

なるほど……!

プログラミングの世界も人間の世界と似ていますね。

マーク・ザッカーバーグさんもそうでしたが、この本の著者である米田晶悟さんもコンピュータと人間を比較しています。

このような考え方は、非常に興味深いです。

 

さて、次の課題は自分がどの言語を学ぶべきかを考えることのようです。

そこで、職場にいるパソコンにめっぽう強い人達に相談してみました。

すると……

 

C言語Javaからプログラミングを始めると挫折するだろう」

「最初はコードが簡単なPythonから始めた方が良い。AIに使われているのもPython

 

……という、ありがたい意見を頂きました。

ということで、今度はPythonの入門書を買いに行くことにしました!