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酸化数の問題を解く際に考えること【薬剤師国家試験 第105回 問8】


 今回は酸化数について考える問題です。

 化合物中の酸素原子の酸化数は−2とされています(過酸化水素(H2O2)などの例外もあり)。

 今回、水素原子やナトリウムイオンが問題に含まれていますが、これらの酸化数は+1です。

 これらの値に応じて塩素原子の酸化数が決まってきます。

 

(a)次亜塩素酸ナトリウム→NaClO

 Naが+1でOが2であることと、NaClOはイオンではないので原子の酸化数の総和は0であることから、NaClO中の塩素原子の酸化数は+1です。

 つまり、Naの+1とOの2を合わせて0にするためには、Clの酸化数は+1である必要があるということです。

 

 したがって、正解は1番の選択肢です。

 以下、その他の選択肢について確認します。

 

(b)塩酸→HCl

 Hの酸化数が+1なので、Clは−1です。

(c)塩化ナトリウム→NaCl

 Naの酸化数が+1なので、Clは−1です。

(d)塩素ガス→Cl2

 単体中の原子の酸化数は0です。

(e)塩素酸ナトリウムは→NaClO3

 Naが+1でO×3が−6であることから、塩素原子の酸化数は+5です。

 

 酸化数の考え方は高校化学で染み付いている方も多いと思いますが、下記の化学式は記憶から抜けてしまっている可能性もあるのではないでしょうか?

 

 次亜塩素酸:NaClO

  亜塩素酸:NaClO2

   塩素酸:NaClO3

  過塩素酸:NaClO4

 

 これらの化学式を思い出せないと正解を絞り込めません。

 まとめて覚え直しておきましょう。

 

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 問題の出典: 厚生労働省ホームページ

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198922.html