
今回の問題はバイオアイソスターについて。
医薬品開発では、薬の分子の部分構造(置換基)を似たような構造や性質のものに置き換えて、活性・溶解性・安定性などを改善することがあります。
薬の活性を維持(もしくは向上)したまま改良するわけです。
このような置き換え可能な部分構造(置換基)をバイオアイソスターと言います。
その代表例として必ずと言っていいほど出てくるものが、カルボキシ基のバイオアイソスターである「テトラゾリル基」です。
対応するテトラゾールのpKa値は約4.5であるため、カルボキシ基と酸性の強さが近いです(酢酸のpKa値=4.75)。
なお、赤色で示したHが水素イオンとして解離します。

というわけで、正解の1つは【3】の選択肢です。
もう1つの正解はどれでしょうか?
カルボキシ基のバイオアイソスターは、構造が近いものか、テトラゾリル基の例のように酸性を示すものを探すといいでしょう。
選択肢【1】はアミドやアミン、窒素原子を含む複素環しかありません。
選択肢【2】もアミドやイミン、ハロゲンしかありません。
選択肢【4】はアミドやアミン、窒素原子を含む複素環に加えてヒドロキシ基があります。
この化合物は第二級アルコールでもあるわけですが、その水酸基のpKa値はカルボキシ基の酸性度とは大きく異なりますよね(イソプロピルアルコールが17くらい)。
残る選択肢である【5】に怪しい構造があります。
カルボキシ基の構造の内部に窒素原子が挿入されている「ヒドロキサム酸基」です。
構造が近いので、選択肢の中ではこれがカルボキシ基のバイオアイソスターと予想できるかな、と思います。
なお、pKa値は9くらいであり、カルボキシ基には及びませんが、フェノール(pKa値=9.9)よりも少し強いくらいの酸性を示す官能基です。

というわけで、正解は【3】と【5】の選択肢です。
---
YouTubeでショート動画を始めました!
第109回と108回薬剤師国家試験の解説をしていますので、是非どうぞ↓
本ブログの管理人が【人体×化学】の書籍を執筆しました↓(2026年4月発売)
グルコースの代謝・ビタミン・ホルモンあたりの内容が苦手な方はぜひ!
体内の浸透圧や体液量の調節など、少々難しいところも説明しています。
バソプレシンやアルドステロンの意義が分かると思うのでお勧めです!
薬の書籍も執筆しました↓(2024年9月発売)
薬理学を簡単に説明しつつ、有機化学(医薬品化学)も織り交ぜています。
こちらも是非よろしくお願いします!
noteではサイエンスライターとして、薬をはじめとする様々な情報を発信しています↓
こちらもよろしくお願いします。
問題の出典: 厚生労働省ホームページ
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198923.html)

